SESはやめとけ?未経験でSESの紹介を全て断った理由

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この記事を閲覧しているということは、これからSES企業に入ろうか迷っているか、すでに中にいて先が見えなくなっているか、どちらかだと思います。

私は、未経験からエンジニアを目指していたとき、転職エージェントから紹介された案件が全てSESで、それを断ったことがあります。

ですので「SESの現場はこうだった」という話は書けません。書けるのは、入口に立ったときに何を見て、なぜ避ける判断をしたのかです。中にいる方の実感とは違う部分があるかもしれません。そこは先にお断りしておきます。

この記事でわかること:SESの仕組みと「やめとけ」と言われる理由 / 私が入口で避けた判断の中身 / それでもSESが選択肢になる場合 / 入社前に確認すべきこと / すでにSESにいる人が抜け出す道筋

結論:問題は「SES」ではなく「配属先を選べないこと」

先に結論を書きます。SESという契約形態そのものが悪いわけではありません。批判が集まる理由は、ほぼ一点に集約されます。

働く場所と仕事の中身を、自分で選べないことです。

まず仕組みを整理します。SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアが自社に雇用されたまま、客先に常駐して働く形態です。契約は準委任契約が一般的で、「成果物」ではなく「技術者の労働時間」を提供する形になります。

項目SES自社開発・受託
雇用元SES企業その会社
働く場所客先(案件ごとに変わる)基本は自社
仕事の中身配属される案件で決まる会社の事業内容で決まる
入社前に分かるか分からないことが多いおおむね分かる

ここで効いてくるのが最後の行です。自社開発や受託の会社なら、入社前に「この会社は何を作っているか」を調べられます。SESの場合、入社時点では配属先が決まっていないことが珍しくありません。面接で「案件による」としか言われないケースもあります。

つまり、同じ会社に入った同期でも、片方はクラウド移行の設計に入り、もう片方は監視センターで3年過ごす、ということが起こり得ます。俗に「案件ガチャ」と呼ばれるのはこの構造です。

「やめとけ」と言われる5つの理由

よく挙げられる理由を整理します。どこまで構造的な話で、どこからが会社次第なのかを分けて書きます。

理由1:スキルが「配属先次第」になる

これが最も本質的な問題だと考えています。設計・構築の案件に入れば経験は積み上がりますが、手順書どおりの運用監視だけを任される案件では、年数を重ねても職務経歴書に書けることが増えません。

厄介なのは、これが本人の努力と無関係に決まることです。真面目に働いていても、案件が変わらなければ経験の中身も変わりません。そして次の転職では「何をやってきたか」を問われます。

理由2:多重下請けで単価が抜かれる

元請けから二次請け、三次請けと契約が連なると、その各段階でマージンが差し引かれます。客先が支払っている金額と、自分の給与の間に開きが出るのはこの構造によるものです。

ただし、これはSES全部に当てはまるわけではありません。元請けと直接契約している企業もあります。「商流が浅いか深いか」は会社選びで確認できる項目なので、後述します。

理由3:評価が難しく、帰属先が曖昧になる

働いている場所は客先、雇われているのは自社。この状態だと、実際の働きぶりを見ているのは客先だが、評価するのは自社という構造になります。営業担当が定期的に様子を見に来る会社もありますが、日々の貢献が伝わりにくいのは確かです。

また、常駐先が変わるたびに人間関係を作り直すことになります。ここを負担に感じるかどうかは、かなり個人差があると思います。

理由4:待機期間の不安がある

案件と案件の間に、次の常駐先が決まらない「待機」が発生することがあります。給与の扱いは会社によって異なるため、ここは入社前に確認すべき項目です。

理由5:指揮命令の線引きが曖昧になることがある

準委任契約では、業務の指示は本来自社から出るのが建前です。しかし実態として客先の担当者から直接指示を受ける状況が生まれやすく、これが行き過ぎると偽装請負として問題視されます。

すべての現場でこれが起きているわけではありませんが、「契約上の建前と現場の実態がずれやすい形態である」ことは知っておいて損はありません。

私が入口で避けた判断の中身

ここからは自分の話です。冒頭に書いたとおり、私はSESで働いていません。ただ、入る一歩手前までは行きました。

未経験からエンジニアを目指していたとき、転職エージェントに登録しました。そこで紹介されたのが、全てSESの案件でした。1件2件ではなく、出てくるものが全部です。

そのとき考えたのは、SESが良いか悪いかではありませんでした。「配属先が決まっていない求人に応募するというのは、何をやるか分からないまま入社するということだ」という一点です。

未経験の自分にとって、最初の数年で何を経験するかは決定的でした。運用監視だけを続けることになれば、次に進みたくなったときに見せられるものがありません。その確率に賭けるのは避けたい——それが結論でした。

結果としてエージェントの利用をやめ、Wantedlyとpaizaで自分で企業を探しました。配属先が特定できる求人だけに応募するという基準で選び、クラウドエンジニアとして入社しています。

この判断が正しかったかどうかは、正直なところ分かりません。SESに入っていたら、良い現場に当たって今より成長していた可能性もあります。ただ、「選べる状態で選ぶ」ことだけは譲らなくてよかったとは思っています。

なお、この経験から整理した「紹介される案件がSESに偏るエージェントの見分け方」は、インフラエンジニアの転職サイトおすすめのほうで詳しく書いています。

それでもSESが選択肢になる場合

ここまで否定的な内容が続いたので、公平のために反対側も書きます。SESが全て悪いとは思っていません。

  • 未経験の間口として実際に機能している:未経験を積極的に採用している企業が多く、業界に入る現実的なルートのひとつです。ここを全否定すると、そもそも入る手段がない人が出てきます
  • 短期間で複数の現場を見られる:会社ごとに構成も文化も違います。当たりの案件を引ければ、自社開発より多様な環境を経験できます
  • 大手の現場に入れることがある:直接雇用では入りにくい規模のシステムに、常駐という形で関われる場合があります

もうひとつ、これは自分の経験から書いておきたいことがあります。「SESはブラック、自社開発はホワイト」という図式は、そのまま信じないほうがいいです。

私はいま自社開発の企業でインフラを担当していますが、残業時間は前職より明確に増えました。労働時間という物差しで見れば、世間で言われている順序と逆になっています。会社の形態だけで働きやすさは決まりません。この話はインフラエンジニアはやめとけ?現役3年目の本音に詳しく書いています。

SES企業に入る前に確認すべき5つのこと

それでもSESを選択肢に入れるなら、選考の場で以下を確認してください。答えられる会社と、濁す会社にはっきり分かれます。

確認することなぜ聞くのか
配属先は入社前に確定しますか案件ガチャを避けられるかどうかの分かれ目
元請けとの直接契約はどれくらいの比率ですか商流の深さ=単価とマージンに直結
案件の種類は運用監視・構築・設計でどんな比率ですか積める経験の中身
待機期間中の給与はどうなりますか収入の安定性
案件変更の希望はどの程度通りますか合わない現場から動けるか

特に1つ目です。「入社後に決まります」「複数の候補があります」という回答は、選べないことの言い換えであることが多いと考えています。逆に、選考の段階で具体的な案件名や業務内容が提示される会社なら、リスクはかなり下がります。

3つ目も重要です。「クラウドの構築案件もあります」と言われたら、「未経験入社の方が実際にその案件に入るまで、平均でどれくらいかかりますか」まで踏み込んでください。案件が存在することと、自分がそこに入れることは別の話です。

すでにSESにいて、抜け出したい場合

「もう入ってしまった」という方に向けて、現実的な順序を書きます。

まず、いまの現場で経験を作れないか試す

転職より先に検討する価値があります。監視と一次対応しか任されていなくても、手作業の自動化や手順の改善は、多くの場合そこから始められます。「対応した」ではなく「再発しないようにした」「月◯時間削減した」と書ける実績は、次の選考で効きます。

また、自社の営業担当に案件変更を相談するのも手です。会社によっては通ります。転職よりコストが低いので、先に試す価値はあります。

次に、経験の不足を資格と発信で補う

現場で経験が積めない場合、外から証明できるものを作るしかありません。AWS資格は書類選考で実際に機能します。私自身、選考で評価されました。入口の資格についてはAWS認定クラウドプラクティショナーとは?勉強法と難易度を参考にしてください。

そしてもうひとつ。私の場合、資格以上に評価された印象があるのが技術ブログでの情報発信でした。資格は「知識があること」の証明にはなりますが、「何を考えて仕事をしているか」までは伝わりません。書いたものがあると、そこが伝わります。職務経歴書に書けるものがないと感じている方ほど、試す価値があると思います。

転職するときは、同じ轍を踏まない

SESから抜けたいのにSESを紹介される、というのはよくある話です。配属先が特定できる求人かどうかを、前述の確認項目で見極めてください。年齢や経験年数ごとの狙い方は30代未経験からインフラエンジニアに転職できる?にまとめています。

まとめ:避けるべきは「SES」ではなく「選べない状態」

「SESはやめとけ」という言葉は、乱暴ではありますが的外れでもありません。ただ、正確に言い直すなら「配属先を選べないまま入社するのはやめとけ」だと思います。

同じSES企業でも、選考段階で配属先を提示してくれる会社と、「案件による」で終わる会社があります。前者ならリスクはかなり下がりますし、後者は自社開発の看板を掲げていても安心はできません。会社の形態ではなく、入社後に何をやることになるかが分かるかどうかで判断してください。

最後に繰り返しますが、私はSESで働いた経験がありません。入口で避けた側の視点です。中で働いている方から見れば、実感と違う部分があると思います。それでも、これから入るかどうかを迷っている方が「何を確認すべきか」を持って選考に臨めるなら、この記事の役割は果たせたと思います。

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